マーケティング全般

マーケティングの達人が「LVMH」でやった仕事とは?

ウブロとともにLVMHグループに移ったジャン-クロード・ビバー氏は、時計部門のプレジデントに就任しました。LVMHとはルイ・ヴィトンなど60以上のラグジュアリーブランドが集合した巨大グループ。時計だけでも複数のブランドを持っているのですが、彼がおこなったのは、各ブランドのセグメンテーションでした。

ターゲティングをおこない、3ブランドの共存を図る

ビバーが統括したのは「タグ・ホイヤー(TAG HEUER)」「ゼニス(ZENITH)」「ウブロ(HUBLOT)」という3つのブランド。それぞれ知名度も人気も高いブランドですから、彼のマーケティング手腕をもってすれば、それぞれを成長させること自体さほど難しくないことのように思えました。しかし問題は、ただ闇雲に売上を伸ばすだけでは、共倒れになりかねないこと。それぞれが互いにマーケットを食い合い、自社競合状態におちいりかねないのです。

そこで、ビバーがおこなったのはターゲティング、それぞれのブランドの位置づけを明確化したのですが、中でも際立ったのがタグ・ホイヤーでの仕事。「アヴァンギャルド」「手に入るラグジュアリーウォッチ」「高コストパフォーマンス」という、3つのわかりやすいルールを設定。高価格帯の製品を廃止する一方で、スマートウォッチなどトレンド感の強い製品を強化しました。そして、タグ・ホイヤーから漏れた客層はゼニスやウブロにフォローさせる。若年層から富裕層、時計の細部にこだわりを持つオタクまで、全ての時計ファンを自身が受け持った3ブランドで取り込む体制を造り上げたのです。

得意の手法で、タグ・ホイヤーを成長させる

さて、先述のタグ・ホイヤーの3つのルールなのですが、素晴らしいのは言葉を並べただけにはなっていない点。他のブランドでもおこなってきた通り、ブランドの強味と弱み、マーケティングの世界でいうところのSWOT分析をおこない、長所(S)をより伸ばすというスタンスをとり、着々と実行したのです。

タグ・ホイヤーが他社より秀でた技術を持っていると判断したからこそ「アヴァンギャルド」でいられますし、自社でほとんどの工程を手がけられるからこそ「高コストパフォーマンス」の時計を製造できる。これは、総合的なマーケティング活動に他なりません。

まとめ

このようにマーケティングの達人として、時計業界を45年間牽引してきたジャン-クロード・ビバーなのですが、第一線を退くと発表したのは昨年の秋のことでした。理由は体調の不良だとか、今後、彼に与えられる役職は「ノン・エグゼクティブ・プレジデント」。アドバイザー的な立場となるのですが、その影響はLVMHにどう出るのか、興味深く見守りたいものです。

執筆者 gisinosuke

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